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「伴走者として」49期樋口敬洋

「伴走者として」

 

ブラインドランナーという言葉をご存知でしょうか。

視覚障がいランナーのことです。

目が不自由でコースの状況がわからないので伴走者が声で伝達します。

「30m先で右に90度曲がります。」

「3・2・1・はいっ!」

「右・右・右・・・はいOK。直進します。」

「足元に凹凸あります。足あげて!」

手には「絆」と呼ばれるロープを持ち一緒に腕を振りながら進みます。

(ルール上はロープなしで腕を持つ、声の指示のみでも構いません)

 

私は2012年1月から、ブラインドランナー道下美里選手の伴走者として一緒に走っています。

道下選手は幼いころは普通に見えていましたが、角膜の病気のため13歳の時に右目を失明しました。

その後調理師を目指して学び働き始めるも、左目にも発症し26歳で左の視力もほぼ失ってしまいました。(左は若干の視力があるので、光を感じたりぼんやりとシルエットを捉えることはできるそうです。)

生きることに希望を失いかけていたそうですが、盲学校で走ることと出会い輝きを取り戻していかれました。

走るたびに記録を更新し、現在はフルマラソンで2時間59分21秒。

暫定ですがブラインドランナー世界最高記録を先日マークしました。

現在パラリンピックには男子の盲人マラソンはありますが、女子は競技として存在しません。

道下選手の夢はパラリンピックで金メダルを獲得することです。

日本盲人マラソン協会の強化選手としてパラリンピックの女子マラソン正式競技化へむけて、日々努力しているところです。

 

 

私は、道下選手と一緒に走る中で多くのことを学ばせてもらいました。

ブラインドランナーの気持ちを理解するため、アイマスクをして走ってみました。

いつもの慣れた公園でも、恐怖心がいっぱいで歩くこともまともにできません。

そんな中で彼女は伴走者の指示を信じて走ります。

信じる気持ちに応えるため伴走者は集中力を振り絞って安全を確保しながら選手が実力を発揮できるように行動します。

そして彼女は信じられないくらい強い意志で努力します。

危険がいっぱいの山道も駆け抜けました。

一般的な視覚障がい者のイメージを完全に覆され、人間の可能性は無限大であることを教えてくれました。

 

現在、福岡には道下選手のようなブラインドランナーが大勢所属するランニングクラブがあります。

視覚障がい者はどうしてもひきこもりがちになるそうですが、クラブメンバーと一緒に走ったり歩いたりしながら趣味を通じて交流し飲みにいったり大会に参加したりして盛り上がっています。

 

伴走を通じて学んだことは、マラソンだけでなく人生でも大切なことだと感じています。

・人を信じること

・可能性を信じること

・現状打破するため、想像をこえた努力をすること

・相手の立場で考えること

 

世の中にはブラインドランナーだけでなく様々な理由で挑戦する気持ちはあるのに機会が制限されている人が数多く存在します。

我々が少しでも多くその事を知る機会があれば、きっと皆が人生を豊かにするための道が拓けることでしょう。

知的障がいある選手の祭典、スペシャルオリンピックスもそんな選手たちの活躍の場です。

昨年、福岡で4年に1回のビッグイベントが開催されましたが認知度はいまいちと感じられました。

「知る」人が伝えていくことで良い連鎖が生まれます。

我々の使命と感じています。

 

ふとしたきっかけで走り始めた市民ランナーでしたが、伴走を通じて人生を変える出会いをさせていただきました。

支えてくれる家族や仲間たちに感謝しながら、楽しんで続けていきたいと考えています。

 

 

49期 樋口敬洋


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