九州歯科大学同窓会

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令和元年9月1日(日)第3回P.G.S.

学術だより

臨床におけるパーシャルデンチャーのシンプルな考え方

土屋嘉都彦 先生

 

 令和元年9月1日(日)九州歯科大学にて、今年度第3回目のポストグラディエートセミナーが開催されました。梅雨のような雨模様の中ではありましたが、多くの受講生の方々が参加されました。

午前は大分市でご開業の土屋嘉都彦先生による講義が行われました。

まず最初に先生御自身がお考えになるこれからの歯科治療の在り方について、アメリカ留学のご経験と補綴専門医としての観点からお話しされました。

本題のパーシャルデンチャー(以下、RPD)の講義では、RPDの基本的事項の確認を行いました。そして部分床義歯を設計するためのポイントとして、①シンプルな設計 ②三点支持が基本 ③三点が作る三角形をなるべく広くとる ④メタルフレームはワンピースで行う ⑤これらのコンセプトを理解できる技工所選びが大切であるという5点を挙げられました。

そして成功に導くためには部分欠損歯列の欠損パターンを理解することが大事で、ケネディの分類はアメリカの補綴の分野では非常に重要視されているが、日本ではさほど重要視されていないということでした。続いてRPDの構成要素である、大連結子、レスト・レストシート、小連結子、直接維持装置、間接維持装置、ガイドプレーン、義歯床の各要素についてその種類と役割、選択の仕方が解説されました。その中でもクラスプに関しては、RPIではなくRPAをよく使用するということでした。鈎歯に関しては、クラスプを使用する歯牙は5年生存率が約87%であることが報告されており、しかもその鈎歯が失活歯であれば、さらにその予後は悪くなると述べられました。

最後に様々な欠損形態のにおけるRPDの設計について、受講生に実際に設計していただいたサンプルケースについて講師が解説するという、実践的な内容の講義で終了となりました。土屋先生の考える、患者・術者双方にとってWin-Winの結果を得られる、患者満足度の高い歯科治療が今後の歯科界に求められるのではないかと感じました。

受講生からのご質問とディスカッションについても活発に行われ、参加した皆様にも満足度の高い講義となりました。

白土 徹

様々な欠損歯列に対するインプラント治療戦略

金成雅彦 先生

  午後は「様々な欠損歯列に対するインプラント治療戦略」という演題で、山口県防府市でご開業の金成雅彦先生のご講演が行われました。インプラント修復は欠損歯列に対する予知性の高い治療法のひとつとして認識されています。今回は少数歯から多数歯までの多くの症例を提示していただき、大変内容の濃い講義でした。

まず、歯を失った原因のお話に始まり、抜歯後の歯槽堤の生理的吸収ついて、①抜歯後の歯槽突起の吸収は唇側・頬側で優位に起こる ②歯槽堤の幅の減少は高さの喪失より大きい ③骨幅の喪失は抜歯後3カ月以内に起こる ④12か月後には50%減少することを述べられ、抜歯後の歯槽骨の吸収を最小限にするためのソケットプリザベーションの重要性について実際の手技を解説されました。続いて少数歯欠損におけるハードティッシュマネージメントについて、オステオトームテクニック(ソケットリフト)とリッジエクスパンジョンについて実際の症例を供覧しながら説明されました。多数歯におけるハードティッシュマネージメントについては、チタンメッシュと非吸収性のPTFE膜で行ったケースの比較を行い、明らかにPTFE膜で覆った方が実際の骨に近い造骨が可能であることを症例提示されました。骨採取の方法は従来の方法としてボーンスクレーパー、ドリリングのバーについた骨、バキュームシリンジで採取、トレフィンバーにて採取するケースと、現在の方法としてACMドリル、BOS Trephine Kitを使用したケースを提示されました。また、GBRの際の骨補填材の積層方法としてThree-layer conceptの解説があり、インプラント周囲の外側に、より吸収の遅い材料で覆うことが重要であることを述べられました。続いて、審美性や機能性、快適性のQOLの維持としてトランジショナルインプラントの活用方法についてのお話しがありました。

最後に欠損と歯列不正を有する総合的な治療が必要な患者さんへの、インプラントと矯正治療を駆使した超難症例への対応を数多くの症例を通して解説され、そのケースの仕上がりの凄さに会場が息をのむほどでした。すべてを一般開業医が取り入れることはなかなかハードルが高いですが、様々な治療技術を駆使することで、患者さんのQOLを劇的に向上することができると改めて感じさせられました。

白土 徹